先祖代々に亘り生活を営み、私自身が生まれ育ったこの地元秦野は、丹沢山系に囲まれたのんびりとした町です。そんな穏やかで、愛着のあるこの秦野の風景に自然ととけ込み、そこに住まう家族が安心して暮らす、そして笑顔と笑い声の絶えない住まいをつくりたいと考えてまいりました。本物の木の住まい、それは身近な材料と地元の職人の手によってつくられます。それは1カ月や2ヶ月では到底できません、それはそこにかかわる職人一人一人の手が全てに加わっているからにほかなりません。そしてそれは何十年、何百年も住めば住むほどに愛着が湧き、いつしか柱の傷が家族の年輪となり、飴色に光る床が住む人の味となって、いつまでも、いつまでも住み続けたくなるのです。日本の木の住まい、それはきっと日本人の持つ本来の姿が全て映し出された日本の文化そのものなのだと思います。こんな当たり前の伝統を、地元秦野を中心に少しずつ伝え、広げていくことが私の天命と信じています。